囚われた花嫁
…話しをしていくうちに、サバサバして、男勝りな女性だと思った。

「…あの」

とりとめのない会話ばかりで、結局のところ、どうして今日、紗理奈と会うことになったのか?分からないままだった。

「…今日、こうして会った理由が知りたいです」

正直に真っ直ぐ紗理奈を見つめて問いかけた。

すると、紗理奈は微笑んだ。

「…勿論、貴女と星空の結婚式のプロデュースをするためよ」

その言葉に驚いて、星空を見た。

「…まだ、約束の一年まで、半年ある。でも、今から念入りに結婚式の準備を始めたいと思ってる」

星空の言葉は、勿論嬉しい。でも、結婚の承諾を受けてない今から、結婚式の準備なんて。

なんだか、父に申し訳ない気持ちになってしまう。

「…星空、気が早くないですか?まだ、父の承諾を得ていないのに」

「…星の言葉は最もだ。だが、これでも大分我慢してる方だ。承諾を得られなくても、今すぐにでも、星を自分のものにしたいのに…だが、それでは、星が幸せになれないと思ったから、こうして結婚せずに待っている。俺の気持ちもわかってほしい」

私の手を取り、そう言った星空。

「…星空」

どう返事をしたらいいか迷ってしまう。

「…星さん」

そんな私を呼んだのは、紗理奈。

「…星空はずっと貴女の事を待ち続けていたのよ。貴女の事を、色々聞かされたわ。どれだけ想っているか、どれだけ自分のモノにしたいか…そんなに愛される星さんは、幸せじゃなくて?一人の男にこれだけ想われることは、一生に一度あるかないかのことなのよ?それに、この結婚式のプロデュースも、勿論貴女のお父様が承諾してからのことなんだから、慌てずゆっくり進めていけばいい。貴女と星空に合った最高の結婚式にしたいと思ってる。私からもお願いします」


…頭を下げられてしまった。
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