彼女は期待しない
鬼のようにって…なんかひどくない?
でも、努力してるのを見てくれている人がいたのは嬉しいな。


「ここって、特別な日に来る場所として紹介したよね」


そう言って高梨くんは窓の外へと視線を向ける。それを追うように窓に目を向けると光のきらめきが宝石のように街を彩っていた。

あまりの美しさに頬が緩み、感嘆の声がもれる。


「わぁキレイ…うん、特別な感じがするね」


緩めた顔のまま高梨くんを見ると、彼は穏やかな笑顔を浮かべていた。


「喜んでもらえてよかった。今日は僕にとって特別な日だから、その笑顔が見れて嬉しいよ」


「特別な日?」


「それは…まあ、藤堂さんにかかってるけど。ある意味、決意の日」


私を見つめる高梨くんの瞳がふいに熱っぽさを帯びる。
知りたい?と言わんばかりの顔を向けられて、心臓がドキン、とひとつとび跳ねた。
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