[野いちご初!?参加型小説] 彼のいなくなった理由
ベランダ
ベランダに出ると、穏やかな風が、髪を揺らした。
白いテーブルと、ならんだ2つのイス。
ここで、ふたりで花火を見た。
鮮やかな光に照らされる彼の横顔。
来年も再来年も一緒に見ようね、と約束した。
ここで、ふたりでお花見をした。
見えないからと、作った折り紙の桜。
ふたりなら、なんでも楽しめると、感じた。
ここで、ふたりで空を見た。
彼に教わり指でなぞった星座。
目を閉じれば、あの星空はすぐに思い出せる。
ここで、ふたりで雪を見た。
寒くなって一緒にくるまった毛布。
毛布と彼に包まれて、世界一幸せだ、と思った。
テーブルの上に、空色の封筒。
そっと手にとって、開ける。
「は」は、8。
「う」は、4。
「さ」は、5。
「む」は?