不器用な彼氏
プロローグ
大手ハウスメーカーに入社して2度目の異動は、横浜でも港に近く、今までいた事務所に比べたら周りに何でもそろっている都会の中にあった。
その反面、建物は他のどの事務所より古く、数年前の大震災の影響で、外壁は所々剥がれている。執務室内もどんよりと薄暗く、雨の日などはカビ臭さが目立ち、身体にはあまり良いとはいえない職場環境。
幸いと言っていいのか、その為、現在近くの土地を購入して、新しい自社ビルの建設が始まっているらしい。
『良いじゃないですか?完成すれば、来春には新オフィスですよ』
長年一緒に仕事をしてきた葉月ちゃんが、異動する私に最後のフォローをしてくれる。
彼女は一つ後輩でありながら、聖母マリアのような慈悲深い子で、時間が足りず大量に残していく残務をお願いしなければならないと思うと、心が痛む。
『まぁね。落ち着いたら、遊びに来てね』
『もちろんです!』
毎度の事ながら、彼女の笑顔に救われる。
去り行く職場は、緑豊な郊外にあり、6年間も通っただけあって、思い入れもひとしお。
異動の挨拶に…と、課内を廻ると、馴染みの同僚に『頑張れよ』と声をかけられ、思わずウルッときてしまう。
ひとしきり全体的に廻り、最後に自分の属する商品管理課のすぐ隣のエリアにある、営業部に挨拶に行くと、早速TM(トータルマネージメント)担当のベテラン佐久間さんに
『何?櫻木さん、次、TMやるんだって?』
と、声かけられる。
その反面、建物は他のどの事務所より古く、数年前の大震災の影響で、外壁は所々剥がれている。執務室内もどんよりと薄暗く、雨の日などはカビ臭さが目立ち、身体にはあまり良いとはいえない職場環境。
幸いと言っていいのか、その為、現在近くの土地を購入して、新しい自社ビルの建設が始まっているらしい。
『良いじゃないですか?完成すれば、来春には新オフィスですよ』
長年一緒に仕事をしてきた葉月ちゃんが、異動する私に最後のフォローをしてくれる。
彼女は一つ後輩でありながら、聖母マリアのような慈悲深い子で、時間が足りず大量に残していく残務をお願いしなければならないと思うと、心が痛む。
『まぁね。落ち着いたら、遊びに来てね』
『もちろんです!』
毎度の事ながら、彼女の笑顔に救われる。
去り行く職場は、緑豊な郊外にあり、6年間も通っただけあって、思い入れもひとしお。
異動の挨拶に…と、課内を廻ると、馴染みの同僚に『頑張れよ』と声をかけられ、思わずウルッときてしまう。
ひとしきり全体的に廻り、最後に自分の属する商品管理課のすぐ隣のエリアにある、営業部に挨拶に行くと、早速TM(トータルマネージメント)担当のベテラン佐久間さんに
『何?櫻木さん、次、TMやるんだって?』
と、声かけられる。
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