不器用な彼氏
第12話 止まらない衝動
梅雨も明け、青々とした草木が眩しい、夏本番がスタートした7月半ば。
午前中の業務が終了し、昼食をとるために、2階にある更衣室に向かうと、社員専用階段の方から、諏訪ちゃんが、小首をかしげながらやってきた。
『諏訪ちゃん、どうしたの?』
『うん。今、3階の進藤さんところに行ってきたんだけど…何か進藤さん、最近変わったよね』
更衣室のドアを開けながら、話続ける。
室内には、既に数名の女子社員が、各々の場所で、ランチを取っていた。
『そう…かな?』
『最初は気のせいかな?って思ったんだけど、やっぱり、変わったよ。なんていうか…前より優しくなっていうか…言葉とかは相変わらずなんだけど、醸し出す雰囲気が柔らかくなったっていうか…』
『あ、それ、広域の進藤さんのことでしょ?』
『私も思った。彼、絶対変わったよね』
まだ、この室内では誰のことだとも言っていないのに、3階のデザイン課の女性社員が次々に同意する。
『さっきだって、いつも通り、2階に届いてたファックス持ってたんだけど、だいたい仕事中だと振り向きもしないで「そこに置いといて」で、おしまいなんだけど、今日なんか、わざわざ受けとってくれて、「いつも悪いな」って』
『それ、人として普通のことじゃ…』
『だって、あの進藤さんが、だよ!ありえないでしょ!』
やや興奮気味で、話をする諏訪ちゃんに、他の女性社員たちも、うなずきを返す。
今まで、どれだけ海成が、普通のコミュニケーションが、取れていなかったのかを思い知る。
午前中の業務が終了し、昼食をとるために、2階にある更衣室に向かうと、社員専用階段の方から、諏訪ちゃんが、小首をかしげながらやってきた。
『諏訪ちゃん、どうしたの?』
『うん。今、3階の進藤さんところに行ってきたんだけど…何か進藤さん、最近変わったよね』
更衣室のドアを開けながら、話続ける。
室内には、既に数名の女子社員が、各々の場所で、ランチを取っていた。
『そう…かな?』
『最初は気のせいかな?って思ったんだけど、やっぱり、変わったよ。なんていうか…前より優しくなっていうか…言葉とかは相変わらずなんだけど、醸し出す雰囲気が柔らかくなったっていうか…』
『あ、それ、広域の進藤さんのことでしょ?』
『私も思った。彼、絶対変わったよね』
まだ、この室内では誰のことだとも言っていないのに、3階のデザイン課の女性社員が次々に同意する。
『さっきだって、いつも通り、2階に届いてたファックス持ってたんだけど、だいたい仕事中だと振り向きもしないで「そこに置いといて」で、おしまいなんだけど、今日なんか、わざわざ受けとってくれて、「いつも悪いな」って』
『それ、人として普通のことじゃ…』
『だって、あの進藤さんが、だよ!ありえないでしょ!』
やや興奮気味で、話をする諏訪ちゃんに、他の女性社員たちも、うなずきを返す。
今まで、どれだけ海成が、普通のコミュニケーションが、取れていなかったのかを思い知る。