不器用な彼氏
そういうと、おもむろにポケットからスマホを手に取り、画面を確認して、舌打ちをする。
『ったく、呼びつけといて、何やってんだ』
『お姉さん?何だって?』
『すぐ戻るから、絶対帰らせないで待っててくれ、だと』
どうやら近くに買い物に出かけたらしく、とりあえず、中に上がってお姉さんを待つことにする。
玄関を開けると、まずは吹き抜けの2階部分から差し込む、柔らかい日差しのあたるフロアが目の前に広がった。すべてが外観同様、木製で囲まれたスペースなのに、洋風なイメージが濃いのは、そこかしこに飾られた華やかな生花のせいだろう。
思わずその場に立ちつくす。
『外観が和のイメージだったから、驚いたか?』
『うん、でもすごく素敵な玄関だね』
『ココは母親の領域だ』
『お母様の人柄が溢れてるみたい』
『おふくろが聞いたら泣くな。ま、上がれよ』
『うん…お邪魔します』
時刻は午後3時半過ぎ。
夏のこの時間は、まだまだ日が高く、目の前の公園からだろうか?セミの鳴き声と共に、元気に遊ぶ子供達の声が、かすかに聞こえてくる。
案内された場所は、玄関フロアから左手に曲がった廊下の先にあった。昔の旧家に良くある造りの廊下は、さっき外から見えた庭に面して、ぐるりと囲うように作られていて、庭側のガラス窓から入る陽光で、眩しいくらいに明るいけれど、遮光用の薄いレースカーテンのおかげで、思ったより暑さはない。
『姉貴の奴、冷房付けっぱなしだ』
ふすまで仕切られた、少し広めの畳の部屋を通り過ぎ、その先の部屋に入った海成は、快適な温度に保たれている室内で、苦言を呈す。
『短い時間の外出なら、着けたままの方がエコなのよ』
『そういうもんか…って、アイツの場合は、ただの消し忘れだと思うけどな』
お姉さんに対しても、変わらぬ毒舌ぶり。今更ながら、そのお姉さんに会うのだと思うと、緊張する。
『ったく、呼びつけといて、何やってんだ』
『お姉さん?何だって?』
『すぐ戻るから、絶対帰らせないで待っててくれ、だと』
どうやら近くに買い物に出かけたらしく、とりあえず、中に上がってお姉さんを待つことにする。
玄関を開けると、まずは吹き抜けの2階部分から差し込む、柔らかい日差しのあたるフロアが目の前に広がった。すべてが外観同様、木製で囲まれたスペースなのに、洋風なイメージが濃いのは、そこかしこに飾られた華やかな生花のせいだろう。
思わずその場に立ちつくす。
『外観が和のイメージだったから、驚いたか?』
『うん、でもすごく素敵な玄関だね』
『ココは母親の領域だ』
『お母様の人柄が溢れてるみたい』
『おふくろが聞いたら泣くな。ま、上がれよ』
『うん…お邪魔します』
時刻は午後3時半過ぎ。
夏のこの時間は、まだまだ日が高く、目の前の公園からだろうか?セミの鳴き声と共に、元気に遊ぶ子供達の声が、かすかに聞こえてくる。
案内された場所は、玄関フロアから左手に曲がった廊下の先にあった。昔の旧家に良くある造りの廊下は、さっき外から見えた庭に面して、ぐるりと囲うように作られていて、庭側のガラス窓から入る陽光で、眩しいくらいに明るいけれど、遮光用の薄いレースカーテンのおかげで、思ったより暑さはない。
『姉貴の奴、冷房付けっぱなしだ』
ふすまで仕切られた、少し広めの畳の部屋を通り過ぎ、その先の部屋に入った海成は、快適な温度に保たれている室内で、苦言を呈す。
『短い時間の外出なら、着けたままの方がエコなのよ』
『そういうもんか…って、アイツの場合は、ただの消し忘れだと思うけどな』
お姉さんに対しても、変わらぬ毒舌ぶり。今更ながら、そのお姉さんに会うのだと思うと、緊張する。