不器用な彼氏
『いつまで玄関で話してんだ?』
リビングからしびれを切らした彼の声がして、思わず二人で、笑い合う。
『行こっか』と、お姉さんに促され、二人並んでリビングに向かうと、途中お姉さんが何かを見つけて、一瞬立ち止まり、私の右側をじっと見て、首の付け根に軽く触れる。
『アイツ、こんなとこに、後残して…』
『あ!えっと、こ、これは…』
『ダメよ、甘い顔しちゃ。職場で秘密なんでしょう?特に夏場は、隠せないんだから。だいたいこういうのは、男の方が気を付けないと』
私が首元を抑えて、真っ赤になるのを面白そうに眺めながら
『もっとも、カイのことだから、わざと…って可能性もあるけどね』
そう言って、ご機嫌でリビングに向かう後姿を見ながら、この姉弟は最強過ぎる…と、もう完敗するしかない。
★
結局、その日の夕食は、お姉さんたっての希望で、真夏のキムチ鍋パーティーが開催された。
エアコンを利かせたリビングで、食事のスタートにビールで乾杯しようとすると、『アンタは帰り、彼女送るんだから、飲んじゃ駄目よ』と、止められる海成。
私は、電車で帰るので…と、言ったのだけど、お姉さんの決定権は、やっぱり強い。
『…良いのかな?』
『気にするな。言われるまでもなく、最初からそのつもりだ』
『そうそう、女子を送るのも男子の役目!』
『チッ、コイツもう出来やがってやがる』
『さあ、菜緒ちゃん飲もう飲もう!』
『あ、ハイ』
リビングからしびれを切らした彼の声がして、思わず二人で、笑い合う。
『行こっか』と、お姉さんに促され、二人並んでリビングに向かうと、途中お姉さんが何かを見つけて、一瞬立ち止まり、私の右側をじっと見て、首の付け根に軽く触れる。
『アイツ、こんなとこに、後残して…』
『あ!えっと、こ、これは…』
『ダメよ、甘い顔しちゃ。職場で秘密なんでしょう?特に夏場は、隠せないんだから。だいたいこういうのは、男の方が気を付けないと』
私が首元を抑えて、真っ赤になるのを面白そうに眺めながら
『もっとも、カイのことだから、わざと…って可能性もあるけどね』
そう言って、ご機嫌でリビングに向かう後姿を見ながら、この姉弟は最強過ぎる…と、もう完敗するしかない。
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結局、その日の夕食は、お姉さんたっての希望で、真夏のキムチ鍋パーティーが開催された。
エアコンを利かせたリビングで、食事のスタートにビールで乾杯しようとすると、『アンタは帰り、彼女送るんだから、飲んじゃ駄目よ』と、止められる海成。
私は、電車で帰るので…と、言ったのだけど、お姉さんの決定権は、やっぱり強い。
『…良いのかな?』
『気にするな。言われるまでもなく、最初からそのつもりだ』
『そうそう、女子を送るのも男子の役目!』
『チッ、コイツもう出来やがってやがる』
『さあ、菜緒ちゃん飲もう飲もう!』
『あ、ハイ』