不器用な彼氏
第3話 嵐の夜に
12月に入り、街中はクリスマスムード一色。季節は日々冬の寒さが増していくけれど、街行く家族連れも、寄り添う恋人達も、なんだかほんわかと、暖かそうに見える。
その日は朝からどんよりと曇り空で、日中は雨こそ降らなかったが、常に湿った空気が漂い、いつポツリと来てもおかしくない天気だった。
時刻は午後の4時半過ぎ。最も日が短くなる時期とはいえ、窓の外がやけに暗い。
『今日は早く帰った方が良さそうだよ、櫻木さん』
前で、熱心にパソコンを見ていた東君が、画面から目を離さずに、話しかけてくる。
『雨?』
『いや、ただの雨じゃ無いね。あと1~2時間後には、この辺り一帯、真っ赤らしい』
向かいに座っているので、こちらから東君の見ている画面は見れないが、どうやらネットで雨雲の動きを見ているらしかった。
彼の話によれば、この時期にしては珍しい、台風並みの雨雲が近づいているとのこと。そう聞いたからか、右側の窓が風に押されてカタカタと小刻みに鳴る音が耳に響く。
幸い、今のところ今日中にやらなければいけない仕事も無く、珍しく定時には上がれそうなので、雨の降る前には家に着きそうだ。
“バンッ!!”
後ろでは進藤さんが、派手な音を立てて、いつものように机にファイルをたたきつけ、『ったく、江守の馬鹿がッ』と、悪態をつく。
どうやら、係長となにやら揉めたらしい。そんな光景も、すっかり慣れてしまい、いちいち飛び上がることも無くなった。
その日は朝からどんよりと曇り空で、日中は雨こそ降らなかったが、常に湿った空気が漂い、いつポツリと来てもおかしくない天気だった。
時刻は午後の4時半過ぎ。最も日が短くなる時期とはいえ、窓の外がやけに暗い。
『今日は早く帰った方が良さそうだよ、櫻木さん』
前で、熱心にパソコンを見ていた東君が、画面から目を離さずに、話しかけてくる。
『雨?』
『いや、ただの雨じゃ無いね。あと1~2時間後には、この辺り一帯、真っ赤らしい』
向かいに座っているので、こちらから東君の見ている画面は見れないが、どうやらネットで雨雲の動きを見ているらしかった。
彼の話によれば、この時期にしては珍しい、台風並みの雨雲が近づいているとのこと。そう聞いたからか、右側の窓が風に押されてカタカタと小刻みに鳴る音が耳に響く。
幸い、今のところ今日中にやらなければいけない仕事も無く、珍しく定時には上がれそうなので、雨の降る前には家に着きそうだ。
“バンッ!!”
後ろでは進藤さんが、派手な音を立てて、いつものように机にファイルをたたきつけ、『ったく、江守の馬鹿がッ』と、悪態をつく。
どうやら、係長となにやら揉めたらしい。そんな光景も、すっかり慣れてしまい、いちいち飛び上がることも無くなった。