不器用な彼氏

『これでもお前が来る前に、整理したんだぞ』

そういうと、軽く後ろを指さしてから、『動くぞ』と、ハンドルを握り、アクセルを踏み入れる。

後部座席を覗くと、おそらく助手席や運転席にかけてあったのだろうと思われる、ハート柄のシートカバーや、ぬいぐるみ、クッションなどが、所狭しと置いてあった。

ピンク色のクッションを手に取ると、表と裏にイエス·ノーの文字。これには、思わずウケてしまった。
一体、どこで手に入れたんだろう？

『まさか、お姉さんの私物…の訳ないよね？』
『知るかっ。あいつ、完全に俺らで遊んでやがる』
『でも、このクッションはともかく、他はみんな可愛いよ？』
『お前まで、勘弁してくれ』

ふと、運転席と助手席の間にある、ドリンクフォルダーに、小さな封筒と、その中に入っていたと思われる、小さなメッセージカードを見つけた。

『これ、お姉さんから？』と、カードを手に取り、書かれたメッセージを読む。