不器用な彼氏
【ダッシュボードの中身は、私からのプレゼントです。楽しんできてね~】

『プレゼント?』
『言っておくが、ダッシュボード、開けなくていいからな』
『何で?』
『何でもだ』

そう言われると、開けたくなるのが人間というもの。手を伸ばし、ダッシュボードを開ける。

中には、紙袋と、そこから出されたと思われる、またもやハートでデコレイトされたカラフルな箱が、無造作に入っていた。

そこに書かれていた文字を瞬時に読み取り、そのまま黙って扉を閉める。

『だから言っただろ、ボケ』
『そ…だね』

お姉さん…チョコじゃないんですから、1ダースって…笑えません。

エアコンが効いて快適になった車内に、一瞬気まずい空気が流れたが、ふと渡し忘れていたものを思い出し、手元のバックからそれを取り出すと、海成に差し出す。

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