不器用な彼氏
こんな時、このTMという仕事の『個』を感じる。
基本的に同じTMでも、互いの仕事に干渉しないことが、暗黙のルール。
だから受けた仕事を、他のTMが手伝ったりはしない。だからこそ、ある程度、個々のやり方が許されていて、楽な部分もあるのだけど、こんな時は、協力してくれても良いのに・・・と心底思う。
時刻は午後6時半。
終業時刻からまだ1時間程度しか経っていないのに、既にフロア内は閑散としていた。
いつもだったらまだ3割以上の社員が残っている時間帯だけれど、この天候の為か、帰宅の足取りは早い。
トレーナーの東君も、『手伝ってあげたいのはやまやまだけど、これも勉強だから。すみません』と、定時早々に、非情にも退社。
結局、TMはいつも通り、私と進藤さんの二人しか残っていなかった。