不器用な彼氏
…収まり始めていた心臓は、今さっきの海成の一言で、再び跳ね上がる。
先程のセリフが、どういう意味かなんて、考えなくてもわかるだけに、とうに決めたはずの覚悟が揺らぎ、今すぐにでも逃げ出したい衝動に駆られる。
どうしても手に入れたいのに、手に入れたら、もう最後、手離すことができなくなりそうで怖い。
海成は、怖くはないのだろうか?
今まで付き合ってきた男性とは、交際中に、終わることなど考えたことなどなかったのに、なぜか海成とは、“もし別れる時が来たら…”と、考えて怖くなってしまう。
終わりがないと、最初からわかっている恋愛などないはずなのに…。
どれくらい時間が経ったのか、一人残された部屋で、ゆっくり立ち上がり、背にしていた窓の方を振り返ると、寝室に降りる段差の前に、外のバルコニーに出る扉を見つけ、ゆっくり開けてみる。
一歩バルコニー側に出ると、海岸方向から流れてくる潮風が心地よく、頬をかすめた。
ずっと先まで広がる空は、陽が沈む前の淡い紫とオレンジの入り混じったなんとも言えない幻想的な色に染まっている。なんて綺麗なのだろう。
一度大きく深呼吸して、自分を落ち着かせる。
冷静に考えてみたら、私たちは片思いじゃない。
私が海成を想うように、海成だって私を想ってくれているはず。
『そうよ。私を、もっともっと好きになってもらえばいいのよ』
願わくば、私が彼を想うより熱く深く…。
声に出したことで、何かが吐き出されたようで、さっきからくすぶっていた、胸の中のモヤモヤが少しだけ解消されたようだった。
先程のセリフが、どういう意味かなんて、考えなくてもわかるだけに、とうに決めたはずの覚悟が揺らぎ、今すぐにでも逃げ出したい衝動に駆られる。
どうしても手に入れたいのに、手に入れたら、もう最後、手離すことができなくなりそうで怖い。
海成は、怖くはないのだろうか?
今まで付き合ってきた男性とは、交際中に、終わることなど考えたことなどなかったのに、なぜか海成とは、“もし別れる時が来たら…”と、考えて怖くなってしまう。
終わりがないと、最初からわかっている恋愛などないはずなのに…。
どれくらい時間が経ったのか、一人残された部屋で、ゆっくり立ち上がり、背にしていた窓の方を振り返ると、寝室に降りる段差の前に、外のバルコニーに出る扉を見つけ、ゆっくり開けてみる。
一歩バルコニー側に出ると、海岸方向から流れてくる潮風が心地よく、頬をかすめた。
ずっと先まで広がる空は、陽が沈む前の淡い紫とオレンジの入り混じったなんとも言えない幻想的な色に染まっている。なんて綺麗なのだろう。
一度大きく深呼吸して、自分を落ち着かせる。
冷静に考えてみたら、私たちは片思いじゃない。
私が海成を想うように、海成だって私を想ってくれているはず。
『そうよ。私を、もっともっと好きになってもらえばいいのよ』
願わくば、私が彼を想うより熱く深く…。
声に出したことで、何かが吐き出されたようで、さっきからくすぶっていた、胸の中のモヤモヤが少しだけ解消されたようだった。