不器用な彼氏
『…あの、すみません…』
唐突に背後から声をかけられ、びっくりして振り返ると、そこには二十歳過ぎくらいの若い男性が3人。
自分と同じように、どこかの宿の浴衣を着ているところを見ると、地元の人ではなく観光客のようだった。
こんな深夜に、さすがに身構える。
『…はい?』
『突然、声かけてすみません。実は、自分達、泊まってる宿の場所が、分からなくなってしまって…』
丁寧な言葉使いと、落ち着いた物言いをされ、少し安心して話を聞くと、彼らは、戻る宿への帰り道が、わからずに、困っているとのこと。
このご時世、携帯でもあれば簡単に戻れるのだけれど、夜の海を見に行こうと宿を出る時に、互いに自分以外の2人が持ってるだろうと考えていたらしく、結局3人共携帯を持たずに、置いてきてしまったということらしい。
実際、困ってるような様子は嘘ではないようで、少しホッとする。
そもそも、こんなに若い子が、アラサーのおばさんをナンパするわけがない。
一瞬でも勘違いした、自分が、恥ずかしくなった。
『もし、携帯を持っていたら、宿の名前を言うので、調べていただけませんか?』
眼鏡をかけた真面目そうな青年に言われ、何とかしてやりたいのはやまやまなのだけれど、自分も携帯を持たずに出てきてしまったので、状況は何も変わらなかった。
正直に彼らにそう答えると、
『え?お姉さんも携帯持たずに出たんですか?…それは困ったなぁ』
『役に立たずに、ごめんね』
よく考えたら、こんな時間に、携帯も持たず、一人でフラフラしている私の方が怪しいのかもしれない。
唐突に背後から声をかけられ、びっくりして振り返ると、そこには二十歳過ぎくらいの若い男性が3人。
自分と同じように、どこかの宿の浴衣を着ているところを見ると、地元の人ではなく観光客のようだった。
こんな深夜に、さすがに身構える。
『…はい?』
『突然、声かけてすみません。実は、自分達、泊まってる宿の場所が、分からなくなってしまって…』
丁寧な言葉使いと、落ち着いた物言いをされ、少し安心して話を聞くと、彼らは、戻る宿への帰り道が、わからずに、困っているとのこと。
このご時世、携帯でもあれば簡単に戻れるのだけれど、夜の海を見に行こうと宿を出る時に、互いに自分以外の2人が持ってるだろうと考えていたらしく、結局3人共携帯を持たずに、置いてきてしまったということらしい。
実際、困ってるような様子は嘘ではないようで、少しホッとする。
そもそも、こんなに若い子が、アラサーのおばさんをナンパするわけがない。
一瞬でも勘違いした、自分が、恥ずかしくなった。
『もし、携帯を持っていたら、宿の名前を言うので、調べていただけませんか?』
眼鏡をかけた真面目そうな青年に言われ、何とかしてやりたいのはやまやまなのだけれど、自分も携帯を持たずに出てきてしまったので、状況は何も変わらなかった。
正直に彼らにそう答えると、
『え?お姉さんも携帯持たずに出たんですか?…それは困ったなぁ』
『役に立たずに、ごめんね』
よく考えたら、こんな時間に、携帯も持たず、一人でフラフラしている私の方が怪しいのかもしれない。