不器用な彼氏
外は、相変わらず嵐のようで、雨の吹き付ける音とガタガタというガラスの響く音だけが鳴り響いている。
『……進藤さん?』
真っ暗闇の中の沈黙に耐えられず、思わず声を発する。
『……何だ』
良かった、今度はちゃんと返事が帰ってきた。
『もしかして、進藤さん雷が怖い…とか?』
『…怖ぇわけないだろ、…嫌いなだけだ』
『それって怖いのと同じじゃ…』
『うるせぇな…』
暗闇だからだろうか?いつもの進藤さんなのだけど、何かが違う。
いつも通りの冷たい言葉使いなのだけど、気のせいなのか、なんとなく柔らかみがあるような…。
真っ暗闇で何も見えず、黙っていると、窓を叩き付ける雨音だけが響き、少し不安になる。
すぐ後ろにいるはずの進藤さんに、もう少しだけ近づきたくて、ほんの少し椅子をスライドさせ、進藤さんの袖机と思われる場所に突き当たった。
何となくだけれど、すぐ横に進藤さんの気配を感じ、おそらく手を伸ばせば触れてしまいそうな距離まで近づいたのだとわかる。