不器用な彼氏
第10話 信じる気持ち(前)
彼と付き合うようになってすでに半年が経つ。
ふと、考えてみたら、職場以外で会ったのは、ほんの数回数えられる程度。“職場の誰かに会ったら…”と警戒して、週末の休みもほとんど会ったりはしない。
自分自身、もう20代の頃の恋愛とは違い、感情に任せて突っ走るようなことはしない…と、言えば聞こえは良いのだけど、正直なところ、クールな彼に“ウザい”と思われるのが怖くて、本当の気持ちが言えなかった。
こんな些細なことで、気持ちが離れてしまいそうになるなんて…。こうなる前に、『もっと一緒にいたい』と、素直に言えば、良かったのだろうか?
『総務課の森下ななみです。よろしくお願いします』
透き通るような白い肌に、吸い込まれそうな大きな瞳。
やわらかな栗毛の髪は、ゆるく片側にまとめられ、右手で髪をかきあげるしぐさが、同性の私でも、なんとも心を揺ぶされるものがある。
『南部エリアのTMを担当してます、櫻木です』
ぎこちない笑顔で答えると、彼女は自身の顔の前で、パチンと手のひらを合わせ、ホッとしたように微笑む。
『良かったぁ~TMさんって、ちょっと怖いイメージあったんですけど、こんな素敵な女性に教えていただけるなんて、私、ラッキーですぅ』
『…そ、そう?それは良かった…』
若さとはなんと眩しいものなのだろう?正直、お世辞だとわかっていても、萌えてしまう。
一見ポワンとした印象の彼女だが、噂によると、名のある名門大学出身で、才色兼備。入社してまだ数年にもかかわらず、管理職候補に名が上がるほどの優秀な人材とのこと。
街頭でのアンケート要員から地道にスタートして、ここまで来た、自称“叩き上げ社員”の私とは、明らかに違う。
ふと、考えてみたら、職場以外で会ったのは、ほんの数回数えられる程度。“職場の誰かに会ったら…”と警戒して、週末の休みもほとんど会ったりはしない。
自分自身、もう20代の頃の恋愛とは違い、感情に任せて突っ走るようなことはしない…と、言えば聞こえは良いのだけど、正直なところ、クールな彼に“ウザい”と思われるのが怖くて、本当の気持ちが言えなかった。
こんな些細なことで、気持ちが離れてしまいそうになるなんて…。こうなる前に、『もっと一緒にいたい』と、素直に言えば、良かったのだろうか?
『総務課の森下ななみです。よろしくお願いします』
透き通るような白い肌に、吸い込まれそうな大きな瞳。
やわらかな栗毛の髪は、ゆるく片側にまとめられ、右手で髪をかきあげるしぐさが、同性の私でも、なんとも心を揺ぶされるものがある。
『南部エリアのTMを担当してます、櫻木です』
ぎこちない笑顔で答えると、彼女は自身の顔の前で、パチンと手のひらを合わせ、ホッとしたように微笑む。
『良かったぁ~TMさんって、ちょっと怖いイメージあったんですけど、こんな素敵な女性に教えていただけるなんて、私、ラッキーですぅ』
『…そ、そう?それは良かった…』
若さとはなんと眩しいものなのだろう?正直、お世辞だとわかっていても、萌えてしまう。
一見ポワンとした印象の彼女だが、噂によると、名のある名門大学出身で、才色兼備。入社してまだ数年にもかかわらず、管理職候補に名が上がるほどの優秀な人材とのこと。
街頭でのアンケート要員から地道にスタートして、ここまで来た、自称“叩き上げ社員”の私とは、明らかに違う。