不器用な彼氏
『あ、変なこと聞いちゃってすみません。でも実は、事務職の中でも、櫻木さんって結構人気があって、皆から聞いてくるように頼まれてて』
『ハ…ハハハ…ヤダなぁ、こんなオバサンに気を遣っちゃって…』
『あ、本当ですよ!これってかなりプライベートなことだから、聞こうかすごく迷ってたんですけど、今日最終日だから、思い切って聞いちゃおうかなと…』
そう言うと、大きな瞳を一段と見開き、更に一歩詰めよってくる。
『どうなんですか?やっぱりいますよね??』
『えっと、ちょ、ちょっと待って…』
彼女の勢いに押され、思わず後ろへ下がると、階段の真横に設置してあるエレベータの前の、腰より少し高めの木製の手すりに、追いやられる。
手すりの向こう側は、1階のショールームを上から一望できる造りになっていて、我が社自慢の眺望なのだけれど、今はそれどころではない。
“どうしょう?カイ君とのことは、職場の人には内緒だけれど、彼の名さえ出さなければ、お付き合いしている人がいることくらい言ってもいいよね?”
どう答えたらいいのか、頭の中で口に出す言葉を考えあぐねていると、
『…ずいぶん楽しそうだな…』
右斜め後方から急に声をかけられ、心臓が飛び跳ねる。振り向かなくても、もちろんわかる。
『ハ…ハハハ…ヤダなぁ、こんなオバサンに気を遣っちゃって…』
『あ、本当ですよ!これってかなりプライベートなことだから、聞こうかすごく迷ってたんですけど、今日最終日だから、思い切って聞いちゃおうかなと…』
そう言うと、大きな瞳を一段と見開き、更に一歩詰めよってくる。
『どうなんですか?やっぱりいますよね??』
『えっと、ちょ、ちょっと待って…』
彼女の勢いに押され、思わず後ろへ下がると、階段の真横に設置してあるエレベータの前の、腰より少し高めの木製の手すりに、追いやられる。
手すりの向こう側は、1階のショールームを上から一望できる造りになっていて、我が社自慢の眺望なのだけれど、今はそれどころではない。
“どうしょう?カイ君とのことは、職場の人には内緒だけれど、彼の名さえ出さなければ、お付き合いしている人がいることくらい言ってもいいよね?”
どう答えたらいいのか、頭の中で口に出す言葉を考えあぐねていると、
『…ずいぶん楽しそうだな…』
右斜め後方から急に声をかけられ、心臓が飛び跳ねる。振り向かなくても、もちろんわかる。