不器用な彼氏
第10.5話 信じる気持ち(海成side)
~くだらねぇ…
海成は3階に向かう階段を上りながら、たった今さっき2階の小ホールで立ち聞きしていた会話を思い出し、心の中で悪態をつく。
“だいたい何で即答しねぇんだ?”
自分の苛立ちの元をたどり、その答えにたどり着いた瞬間、先程の、返答に困った彼女の顔を思い出し、逆に自問してみる。
“では、もし、彼女と同じ質問をされたら、自分は即答できるのか?”
と。答えはNoだ。
自分達が付き合っていることは、お互い誰にも話していないし、当然職場の誰もが知らないはず。そして、それは、付き合うことを決めた時、自分が彼女に、約束させたことだった。
当時、お互い同じ仕事だったこともあり、表向きは仕事に支障をきたしたくないという理由だったが、実際は自分の性格上、女のことでからかわれるなど、どう考えても耐えられるはずもなく、『二人だけの秘密っていうのもちょっと良いよね?』と、笑う彼女に甘えたのだ。
“結局、俺があいつにあんな顔をさせているのかもしれねぇ”
いつものポーカーフェイズを崩さずに、小さく溜息をつく。
海成は3階に向かう階段を上りながら、たった今さっき2階の小ホールで立ち聞きしていた会話を思い出し、心の中で悪態をつく。
“だいたい何で即答しねぇんだ?”
自分の苛立ちの元をたどり、その答えにたどり着いた瞬間、先程の、返答に困った彼女の顔を思い出し、逆に自問してみる。
“では、もし、彼女と同じ質問をされたら、自分は即答できるのか?”
と。答えはNoだ。
自分達が付き合っていることは、お互い誰にも話していないし、当然職場の誰もが知らないはず。そして、それは、付き合うことを決めた時、自分が彼女に、約束させたことだった。
当時、お互い同じ仕事だったこともあり、表向きは仕事に支障をきたしたくないという理由だったが、実際は自分の性格上、女のことでからかわれるなど、どう考えても耐えられるはずもなく、『二人だけの秘密っていうのもちょっと良いよね?』と、笑う彼女に甘えたのだ。
“結局、俺があいつにあんな顔をさせているのかもしれねぇ”
いつものポーカーフェイズを崩さずに、小さく溜息をつく。