不器用な彼氏
第11話 信じる気持ち(後)
―パリーンッ
後ろで何かが派手に落ちた音と共に、ガラスの砕けたような音がして、振り向くと、いつも東君の机の上にあったスタンド鏡が、床に落ちて粉々に砕け散っていた。
その音を聞きつけて、少し離れた席にあるパソコン端末で作業していた、東君が飛んでくる。
『あれ?おかしいなぁ。そんな端に置いた覚えないんだけどなぁ』
と不思議がる中で
『わりい、手がぶつかっちまった』
こちらは全くと言っていいほど、悪びれていない様子の、彼が立っていた。
私も慌てて破片を拾おうしたけれど、東君に『あ、いいよ。危ないから』と止められる。
近くにいた古賀主任が、『東、鏡が割れるなんて不吉だなぁ』と面白がると、そういった類の話を信じきっている東君は『やめてくださいよぉ』と、本気で怖がっている。
この一件で、にわかにTM周辺が、少し騒がしくなり、私はというと、右手を自分の机の上に残したまま半身を接客用のカウンターに向けて、その様子を見ていた。
…と、カサッと何かが、机に置いたままの右手に触れる。
“?”
見ると、小さく4つ折りにした紙があり、中身を開けてみると、走り書きで“メールを見ろ”と書いてある。
見覚えのあるその字に、とっさに周りを見廻し彼を探すが、先程、東君の鏡を壊した、張本人の姿は、もうこのフロアにはない。
後ろで何かが派手に落ちた音と共に、ガラスの砕けたような音がして、振り向くと、いつも東君の机の上にあったスタンド鏡が、床に落ちて粉々に砕け散っていた。
その音を聞きつけて、少し離れた席にあるパソコン端末で作業していた、東君が飛んでくる。
『あれ?おかしいなぁ。そんな端に置いた覚えないんだけどなぁ』
と不思議がる中で
『わりい、手がぶつかっちまった』
こちらは全くと言っていいほど、悪びれていない様子の、彼が立っていた。
私も慌てて破片を拾おうしたけれど、東君に『あ、いいよ。危ないから』と止められる。
近くにいた古賀主任が、『東、鏡が割れるなんて不吉だなぁ』と面白がると、そういった類の話を信じきっている東君は『やめてくださいよぉ』と、本気で怖がっている。
この一件で、にわかにTM周辺が、少し騒がしくなり、私はというと、右手を自分の机の上に残したまま半身を接客用のカウンターに向けて、その様子を見ていた。
…と、カサッと何かが、机に置いたままの右手に触れる。
“?”
見ると、小さく4つ折りにした紙があり、中身を開けてみると、走り書きで“メールを見ろ”と書いてある。
見覚えのあるその字に、とっさに周りを見廻し彼を探すが、先程、東君の鏡を壊した、張本人の姿は、もうこのフロアにはない。