不器用な彼氏
6月上旬。
梅雨の初めで、曇りがちの毎日が続いていた。
1階エントランスの右手にある自動販売機の先を、左手に曲がったちょっとしたスペースに彼女を連れ出し
『この前の質問だけど』
と、切り出した。
『実は私、お付き合いしてる人いるんだ…って、もう今更、興味ないよね』
『いえ、わざわざ教えてくださって嬉しいです…って、うち課の男性陣には残念な結果ですけど(笑)』
と、やっぱり素敵な笑顔で答えてくれる。
あれから、カイ君…もとい海成(まだ慣れないなぁ)に、“いいから、男がいることだけは、ハッキリ言ってこい!”としつこく言われ、仕方なく自らこうして答えることに。
なんだか、自意識過剰のようで、恥ずかしい。
『でも、どうしてあの時じゃなくて、今なんですか?』
素朴な疑問を口にする。そうだよね。それは、そう思うよね。
『えっと…それは…』
私が口ごもると
『もしかして、櫻木さんの彼氏さんって、うちの人?しかもココの支店にいる人とか?』
“ドキッ”
『そして、それは二人以外、誰も知らない…とか?』
“ドキッドキッ”
『図星!なんですね~(笑)』
名門大卒の才女とは、ここまで推測能力が高いの?それとも、私の顔に書いてある?思わず、動揺して自分の両頬を抑える。
梅雨の初めで、曇りがちの毎日が続いていた。
1階エントランスの右手にある自動販売機の先を、左手に曲がったちょっとしたスペースに彼女を連れ出し
『この前の質問だけど』
と、切り出した。
『実は私、お付き合いしてる人いるんだ…って、もう今更、興味ないよね』
『いえ、わざわざ教えてくださって嬉しいです…って、うち課の男性陣には残念な結果ですけど(笑)』
と、やっぱり素敵な笑顔で答えてくれる。
あれから、カイ君…もとい海成(まだ慣れないなぁ)に、“いいから、男がいることだけは、ハッキリ言ってこい!”としつこく言われ、仕方なく自らこうして答えることに。
なんだか、自意識過剰のようで、恥ずかしい。
『でも、どうしてあの時じゃなくて、今なんですか?』
素朴な疑問を口にする。そうだよね。それは、そう思うよね。
『えっと…それは…』
私が口ごもると
『もしかして、櫻木さんの彼氏さんって、うちの人?しかもココの支店にいる人とか?』
“ドキッ”
『そして、それは二人以外、誰も知らない…とか?』
“ドキッドキッ”
『図星!なんですね~(笑)』
名門大卒の才女とは、ここまで推測能力が高いの?それとも、私の顔に書いてある?思わず、動揺して自分の両頬を抑える。