今度は逆に、俺から行くから。

二回目の金曜日。今日は勝負をかける日だ。


朝早くからラウンジに行き、予想通りやってきた楓に「会えると思って」と伝えると、強気な口調は崩さないまま、でもはにかんだように笑ってくれた。

「終わったら上でご飯食べよう。ご馳走するよ」と誘いながら、会場に先に入る。断る隙も与えなかったが、ほんとに嫌なら言ってくるはずだ。

先週より明らかに好感触だ。



この時点で、俺は確かに浮かれていたと思う。

宿題について「パートナーについては思い当たる方いましたか?」と講師に質問されたから「パートナーになってほしい人への行動は、まだこれからですけど」と答えた。

押せばいける、と過信したんだ。



でもその日は一日中、目が合わなかった。休憩中にも隙がなく、声をかけるタイミングがない。避けられてる。

先を急ぎすぎたか。でも、へこんでる暇はない。

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