塩顔男子とバツイチ女子
今日はクリスマスだというのに。事前に予告されていた年末年始のシフトが改めて出された。
明日と明後日が夜勤に変わっていて。大晦日の夜勤と元旦の中番は変わらず、休み明けに夜勤三連続。夜勤専門の人やパートさんもやっぱり何人かは休みを希望したらしい。お正月だもんね。家族がいたらその気持ちは分かる。子どもがいたら尚更だろうし。
わずかなお正月休みは体を休ませるために使おう。どうせコッソリ過ごさねばならないし、家でのんびり好きな事をやろう。
「やば」
タイムカードを切って時計を見ると十八時を過ぎていて。珍しく定時に上がれるかと思ったけど、やっぱりダメだった。早く着替えて出ないと。
待ち合わせはいつも通り駅前。
昨日は実家で夕飯を食べて、ばあちゃんからの差し入れのクリスマスケーキも食べて。クリスマス気分はじゅうぶん味わってしまったけれど。こんなにソワソワするクリスマスはいつぶりだろうか。
北斗くんに聞かれた。自分の事をどう思っているかと。
どう返したらいいのか悩んだ。北斗くんは弟のような感じではないし、年の差もあるけれどそれもまったく気にならない。一緒にいる事が自然で。でも、恋をしているのかどうかは分からない。恋なのだろうけど――自分が鈍感なのだと改めて感じる。
バーベキューの日、北斗くんに手を握られた時は本当にびっくりしてドキドキした。しかもそのまま北斗くんのコートのポケットに入れられたりして。
北斗くんとの距離がどんどん縮まっているのは間違いない。北斗くんこそ私の事をどう思っているんだろう。軽い気持ちで行動する人ではないと知っているけれど。
唯一分かっているのは、私が七つも年上でバツイチであるという事をまったく気にしていないという事だ。