塩顔男子とバツイチ女子



なつみさんから少し遅れると連絡が来た。時間通りに上がれなかったという。

待ち合わせは駅の反対側の、少し歩いた所にあるコンビニ。大学に行く前に夜勤明けのなつみさんと偶然会って、グリーンスムージーを渡したコンビニだ。連絡先を交換したのもこの場所。

今日は当たり前だけどカップルが多い。俺はバイト中も何だか上の空で、どこかソワソワしていた。こんな気持ちになるのはいつぶりだろう。高校時代の彼女と初めて出かけた時、こんなにソワソワしたかな…。


プッと短いクラクションの音がして振り返ると、なつみさんの車が俺の近くに滑らかに停車した。助手席のドアを開けると、やっぱり少し小さくなったなつみさんの顔が見える。


「ごめんね、待たせて」

「さっき着いたばっかりです。俺もちょっと遅くなったんで」


バイト先は大学の少し先にあるから、駅までは普通に歩いて30分くらいかな。車に乗り込んでシートベルトを締める。


「なつみさん、やっぱり痩せた」

「ずっと忙しくてね、食事後回しにしちゃって」


なつみさんは苦笑いしながら言って、ハザードを消すとアクセルを踏んだ。


「俺、行きたい所があるんですけど」

「どこ?」


この前バーベキューをした場所の少し先に大きなショッピングモールがある。蒼と優斗になつみさんと会うと言ったら、そこのイルミネーションが綺麗だから行った方がいいと言われた。


「じゃあ出発するね」


なつみさんは髪の毛をくるくる巻いてポニーテールにしている。ふわふわしていて可愛い。
触ってみたいと思った。

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