塩顔男子とバツイチ女子
「まだ大学生でしょう。わざわざこんな年上と付き合う必要もないんじゃないかと思って。ご両親も快く思わないでしょうし」
「歳は関係ありません。うちの両親は気にしないタイプですし。そもそもなつみさんの離婚は、俺はなつみさんが悪いとは思いません。バツがあっても無くても、なつみさんはなつみさんです」
初めてなつみさんから聞いた時は内心びっくりしたけど。なつみさんはたくさん傷ついて、でも今はそれを乗り越えていつも俺に笑顔を見せてくれる。俺がなつみさんを笑顔にさせたい。守ってあげたいし頼ってもらえる男になりたい。
「私は反対」
「俺が大学生だからですか?」
「そう。離婚して間もないのにもう付き合ってる男がいて、ましてやそれが大学生だなんて知れたらもう…。なつみも何を考えてるの。自分の弟よりも年下と付き合うなんて」
お母さんは大きなため息をついた。世間体ってやつか。なつみさんが肩身が狭いと言っていたのはこれなんだ。
「なつみさんに失礼です」
お母さんとなつみさんが同時に俺の事を見た。
なつみさんは心配そうな顔をしていて。
「北斗くん…」
「歳を取るから出来る経験もあります。バツがついてるのって悪い事なんですか?周りから何を言われても守ってあげるのがお母さんなんじゃないんですか?俺の事はどう言われても構いませんけど、なつみさんを否定するような事を言わないでください。世間体となつみさん、どっちが大事なんですか?」
「…とにかく私は反対ですからね。誰にも見られてないといいけど…」
お母さんはものすごく怒りを堪えた顔で、なつみさんを睨みつけてから出て行った。
「北斗くん、嫌な思いさせてごめんね。でも、ありがとう」
「え?」
「庇ってくれてありがとう。嬉しかった」