塩顔男子とバツイチ女子


ばーちゃん達は蒼が生まれた時から見ているから孫同然らしく、おやつを貰ったり取りとめのない世間話に普通に参加していてびっくりした憶えがある。四方八方から噛み合わない会話が飛んでこようが蒼はそれにツッこんだり、相槌を打ったり。


「美白も誘おっかな」

「それはやめて。二人揃うとうるさいから。迷惑かける」

「それもそうな」


蒼と玉木が揃うと何でもないような事でギャーギャー騒ぎ出すからなぁ。二人一緒は絶対危険。病気療養中の人もいるだろうし。


「蒼はいいよな。誰に対してもフランクで。遠慮しなさすぎるけど」

「俺が遠慮してたらお前は今頃ボッチだよ」


それは否定出来ない。高校で蒼に出会っていなかったら、今もここまで親しい友達はいなかったと思う。


「なつみさんのお母さんだって、お前から行ってみりゃイイじゃん。まー最悪殴られるかも知れないけど。北斗は誤解されやすいし、そういうのは早めに解くに限ると思う。二度と会わないヤツならどうでもいいけど、彼女のお母さんだもんな」

「俺が行くのはいいんだけど、なつみさんが巻き添えになるのが嫌なんだよ」


あの日、俺がやらかしてしまったからなつみさんに嫌な思いをさせたと思う。それでも俺の事を気遣ってくれて。また同じような目に遭わせるわけには…。


「なつみさんには言わないで一人で行け。みすみさんなら家の場所教えてくれるんじゃね?」

「アポ無しか…」

「本当になつみさんが大事なら、ちゃんとしといた方がいいよ。口では気にしないって言えても、実際肩身狭いんじゃね?お前が社会人ならともかく大学生だし」


家に行ったとしても追い返されるのが目に見える。でもなつみさんと一緒に行ったら確実になつみさんが攻撃されるだろうし…。何が最善なんだろう。なつみさんに連絡してみようかな。
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