塩顔男子とバツイチ女子


「マジか。何か言われた?」

「どんな子か見たいから写真見せろって言われて、それで渋々プリクラ見せたような記憶はあるけど…」

「俺は高二の時にバイクでニケツしてて、そしたらたまたま前から母ちゃんの車が走って来たわけ。お互いバッチリ目合っちゃって、家帰ってから尋問。女の子乗せてたけど誰なんだ、バカな事してないか、夜遊びに付き合わせてないか、絶対に健全な付き合いにしろ、責任取れない事はするな―――もう俺、うるせーな!ってブチ切れたらビンタされて」


デート中に親に目撃されるなんて…。今だったら別に恥ずかしくないし、むしろ紹介出来るだろうけど。十代でそれは精神的にキツい。大打撃。


「母ちゃんじゃなかったらフルボッコだったわ」

「まぁ、あの時は芳恵ちゃんの言い方が悪かったわね」

「姉ちゃんて高校ん時、彼氏いたの?母ちゃんに詰め寄られてるの見た記憶ないけど」

「私も聞いた事ないわ」


なつみさんの高校時代かぁ。どんな感じだったんだろう。今度会ったら聞いてみよう。


「バレないようにやってたのかな。ていうか大体さ、健全な付き合いって何だよって思わない?高校生だよ?一番元気な時だよ?ヤっちゃうじゃん」

「ゴホッ」

「圭!場をわきまえなさい。ホクちゃん大丈夫?」


むせながら頷くと、圭さんがごめんごめんと謝りながら背中をさすってくれた。危うく気管にコーヒーが入るところだった…。


「でも北斗は俺の気持ち分かるでしょ?北斗だってそこは通過したでしょ?元カノとそれなりにさ」

「それはまぁ……はい」

「当たり前の事よな、付き合ってんだから。そうなっちゃうだろうって誰でも予測出来る事は黙っててほしいよな。むしろ自分だって遠い昔に通過してるだろうに。絶対想像したくないけど」
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