塩顔男子とバツイチ女子
「山城陽子です。よろしくね。なつみちゃん、いいわねぇ。かっこいい男の子が二人も近くにいて」
「ホラ、やっぱ俺、見た目イケてんじゃん」
「イケてないなんて言った事ないよ」
玉木に相手にされなかった理由として、結構派手だしチャラチャラした見た目だからダメだったんじゃないのって言った事があるけど。
「能瀬くん。声のボリュームもTPOに合わせてね」
「すいません」
いつもの騒がしさも、ここではそうもいかない。でも山城さんは賑やかになりそうで良いと笑ってくれている。
「ちょっとごめんね」
なつみさんの胸ポケットに入っていたPHSが鳴り出した。
「市川です。…佐藤さん?トイレにいない?…だったら共用のトイレは?外には行ってないと思うんだけど…下見てみます」
誰かいなくなっちゃったのかな。なつみさんは電話を終えると、後はよろしくと言って足早に一階に向かって行った。
「そこにあるお茶を入れてもらってもいいかしら?」
「はい」
近くにシンクがあって、そこにステンレスポットが置いてあった。中身はほうじ茶だという。山城さんのマグカップに半分ほど注ぐ。
「能瀬くんも大学生?」
「北斗と同じ大学に行ってます。高校からの腐れ縁で」
「山城さんはみすみさんと長い付き合いなんですよね」