塩顔男子とバツイチ女子
「いいっすよ」
「佐藤さん、能瀬くんね。何かあったら能瀬くんに言ってね」
「あんたはどこに行くの」
「私はまだまだ仕事があるから、昼食までにそれを片付けてきます」
やる事は本当に山程ある。寝たきりの人の様子を見に行って床擦れしないように寝返りさせ て、それからまた少し風邪が流行っていて何人か寝込んでいるからその人達の様子も見に行って記録を書いておかなければいけないし、それから洗濯物もある…あとは何があったかな。仕事はちゃんと手分けしているのにそれでも追いつかない。予定は未定で、いつ何が起こるか分からないから。
「能瀬くん、何かあったら職員に声をかけるか私に連絡して。相楽くんにも伝えてね。そういえば二人共、お昼はどうする?社食にするなら奢るけど」
「マジっすか。この辺、近くにコンビニ無いしどうすんのかと思ってて。北斗もそれでいいと思います」
蒼くんはヤッタ!とガッツポーズ。この辺は完全に住宅街だし、近くにお店がない。私達も社食(とはいえ入居者さん達に出される食事と同じ物を安く提供されるだけ)か、各自持参するか。事前に伝えるのをすっかり忘れていた。
「これも相楽くんに伝えてね。私行っちゃうけどよろしく」
「了解っす」
「あんた達、知り合いなの」
「まぁちょっと。ていうか俺、能瀬です」
佐藤さんは蒼くんに一緒に食べるかとお菓子をテーブルに並べていた。蒼くんに任せて大丈夫そうだな。実際、話上手だと思うし。佐藤さんはちょっと気難しい時もあるけど、今は平気そう。
お昼まで時間がないから午前中に出来る事は済ませなくちゃ。私はまた階段をかけ登った。