塩顔男子とバツイチ女子
「ねぇ、北斗くんとなつみさんてどうなの」
「どうって何が。フツーに付き合ってんじゃん。今日はデートだってさ」
今日はなつみさんが日勤だからメシを食いに行くらしい。定時で上がれるかは分からないから、ロビーで本を読んで待っていると言っていたけど。
「まだ狙ってんの」
「そういうわけじゃないけど…」
去年、北斗と美白はみすみさんのお店で二人きりで話をした。美白は全て正直に話して北斗と和解して。でもお互いの連絡先は知らないし(北斗に拒否られた)、校内で会った時は喋るようになったみたいだけど、北斗は変わらず玉木と呼んでいる。北斗は本当にゼロか100かの男。興味がない事にはとことん冷めているし、その逆も然り。
「上手くいってると思うよ。俺が女だったら北斗なんて絶ッッ対嫌だけどね。あいつマイペースすぎて昔フラれたくらいだし、恋人らしい事してる姿が全然浮かばない」
あいつは多分こまめに連絡はしないし、デートに誘うのもなつみさんが忙しいからって躊躇しちゃう。積極的かと思うとそうでもない。俺なんて美白に何回断られてるか分からないくらい誘って撃沈して、それでも諦めずに誘い続けてようやく美白が根負けしてデートにこぎ着けてるのに。
美白はちょっとしょんぼりした顔をしている。本当はいけないんだよな。その人の好きな相手をけなすような事を言っちゃ。でも俺は言っちゃう。北斗の事は俺が一番分かってると思ってるから。
「私も最初から正々堂々と勝負してたら、北斗くんに気にかけてもらえたのかなぁ…」
「まぁ、ストーカーだったからな。印象悪かったのは間違いないだろ」