塩顔男子とバツイチ女子
「美白は気づいてると思ってたけど。もう一度言った方がいい?」
友達になってから再三デートに誘って、こまめに連絡して。美白と話せるようになった事が嬉しかったから友達でもいいと思って好きだなんて言ってなかったけど。
俺はお膳立てするためにいるわけじゃない。
『俺にしとけよ的な』
それは今でもずっと思ってる。
「俺は今でも」
「ちょっと待って」
美白は食べる手を完全に止めて、分かっているからと言いたそうな顔をしていた。でも今だからこそ言わなきゃ伝わらないと思う。自分の気持ちは言葉にしなきゃ相手に伝わらない。
「今でも美白が好きだよ。入学した時から変わらない。正直、俺にしとけよって思ってる。北斗はもうなつみさんと付き合ってるし、美白に恋愛感情はない。俺はちゃんと美白の事を大事にする。…見た目こんなだし、ちょっとチャラいとこもあるけど。でも大事な人を裏切ったりしない」
…失敗したな。何焦ってんだろ。今日こんな事を言うつもりじゃなかった。美白が北斗に未練を残してる事は分かってるし、だからこそクリスマスに一緒にケーキを食べた時も、正月にバーゲンに付き合わされて帰りに飲みに行った時も言わなかったのに。
「さすがの俺もやっぱカチンとくるわけ。自分の好きな女がいつまでも違う男に気があると」
「北斗くんの事はやっぱり気になるよ。なつみさんと一緒にいる姿を見て、その時にもう諦めはついたの。蒼にも言ったよね」
ブレーキが外れそうな俺とは対照的に美白は落ち着いてる。俺ばっかり好きなんだよな。