塩顔男子とバツイチ女子
「私は最初から北斗くんには何とも思われてないし――さっきも言ったけど、諦めはついてる。でもやっぱりかっこいいし、北斗くんてミステリアスじゃない?だからどういう人なのか知りたいし友達になれたらなって思ってるだけ」
「マジか。ごめん…勝手に先走って。今日、北斗となつみさん見てたから触発されたっつーか…」
今の俺、マジカッコ悪ぃ。勝手にヒートアップして先走って美白に畳み掛けて。美白は力が入り過ぎと言って笑いながらピザを食べている。
「私だって気づいてるよ、ちゃんと。だって蒼、毎日連絡してくるじゃん。私が誘い断ったってめげずにガンガン誘ってくるし。でもさっき言ってくれてありがとう」
こういうところが可愛いから美白はずるい。ちょっと上目遣いでありがとうなんて、ドキッとしない男はいない。北斗はどうなのか分かんないけど。いや、結構単純なとこあるからな。
「もう一度聞いてもいい?美白、俺の事はどう思ってんの」
「……」
美白が慎重に言葉を選んで、頭の中で整理してる。急かしちゃいけないんだけど、でも今ここでハッキリ聞いておかないと俺が後悔する。
「正直に言うね。まだ恋愛感情なのかどうかは分からない。でも一緒にいると何だかんだ楽しいし、口は悪いけどちゃんと私の事を考えてくれてるし、結構真面目なんだなって分かって。蒼ならいいかな、大丈夫かなって思い始めてるところ」
「やばいわ。俺、叫びたい気持ちでいっぱい。マジ嬉しい」
ここが外ならきっと俺は今、叫びまくってる。もしかしたら発狂しているかも知れない。
「けど言っとく。俺、そんなに気が長い男じゃねーかんな。割とモテるし。引く手あまただぜ」
「蒼が何でモテるのか不思議だよ」
何でモテるかってやっぱ顔とセンスでしょ。それと話術。美白はまだまだ全然俺を分かってない。でもだからこそ一緒にいて、お互いの事を分かり合いたいんだ。あともう一押しってとこかな。頑張ろう。
そういえば正月に美白の話になった時の北斗の一言、当たってる…。