塩顔男子とバツイチ女子
「蒼、就職先どうすんの」
「今の店にそのまま入ろうかと思ってる。声かけてもらってるし。優斗は?」
「俺もまぁ、やっぱ服に関わる仕事がしたいから。せっかく学んでるわけだしデザインやりたいけど。スタイリストもいいかなって。現実的に考えるとね」
正月は毎年必ず元旦に(しかも夜中に待ち合わせて)北斗と優斗と初詣に行っていて、今年ももれなく行った。俺達は地元が近いからこの近辺では有名な神社へお詣りをしておみくじも引いた。
「デザイナーなんて狭き門だもんな」
優斗は服飾の専門学校で服作りを学んでいる。俺は大学に入ってからずっとファストファッションの店でバイトしていて。社員にならないかと声をかけてもらっている。
「北斗は?」
「俺?全然考えてないんだよなぁ…。就活も想像すらつかない」
北斗は経営学を専攻している。俺と優斗はいずれ自分の店を持ちたくて、北斗はそれに興味を持ってくれて今に至ってる。俺と違って頭も成績も良いけど、北斗は無愛想で人付き合いが苦手な所が難点。
「お前はまず人付き合いだよ。どこ行っても絶対無愛想ってのが損だし、面接で落とされるぜ。今のバイトに雇ってもらえたのも不思議だよ」
「まぁ、それが北斗だからな。変に取り繕ったりしないでやるのが一番じゃない?」
優斗は出店で、でっかい牛串を買いながら言った。俺も優斗も何でもストレートに言っちゃうし俺は口調もキツい方だけど、優斗は優しさがある。見習いたいけどなかなか出来ない。
「北斗、なつみさんと上手くいってるの?」
「うん。時々連絡してるよ。明後日会う。なつみさんずっと忙しくて、昨日夜勤なのに今日中番なんだ」