塩顔男子とバツイチ女子


幼なじみって恐ろしい。初恋から失恋、小っ恥ずかしい話まで何でも知ってる相手。


「でも蒼、二年連続で大吉だったじゃん。大丈夫じゃない?玉木も気がないわけじゃないと思うよ。本当にその気がないなら誘いに乗らないと思う。蒼は一度告白してるわけだし、玉木はそこまで鈍くないでしょ」

「へ~。北斗がそう言うなら大丈夫じゃない?普段から人間観察してるもんね」

「人間観察はしてるけど、人を見る目があるかどうかは別だよ。でも蒼と玉木は何だかんだお似合いだと思ってる」

「人から見て似合ってるって言われるのが一番いいとか言うよな」

「そうそう。俺もなつみさんとそうなんだって」


二人は俺なんてそっちのけで会話をして、更にベビーカステラの屋台に並んでいる。三人でいても昔からこんな感じ。それぞれ個性が強いから一緒にいても別の物を見ていたり。今みたいに誰かが置いてきぼりになったり。まぁこれも普通なんだけど。

俺も輪に加わろうかとした時、スマホが鳴った。美白から。めっちゃタイムリー。昨日(つまり大晦日に)冬休み中に遊ぼうって連絡をして、でも保留にされていた。


“ 明けましておめでとう。今年もよろしくね。蒼くん、明日空いてる?”


「ッシャ!!」

「どうしたの」


思わず叫んでガッツポーズした俺を見て、優斗が画面をのぞき込む。

「やったじゃん」

「玉木?」

「明日空いてるかって。空いてなくてもそりゃ空けるわ。ばーちゃん達には悪いけど」


明日は親父の方のじーちゃんばーちゃんの家に行く事になってたけど、ここは美白でしょ。いや、ちゃんと行くけどね。数少ないチャンスは逃せない。なかなかデートに漕ぎ着けないんだから。
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