塩顔男子とバツイチ女子



それは昔からの癖。一歩引いて見てしまう自分がいて、でも感情の波は普通にある。俺だって楽しい時や悔しい時はあるし。ただそれを言葉や態度にするかしないかだけ。



「そのうち仙人になっちゃうんじゃね」

「何で」

「健全な男はさ、玉木みたいな美人に好きだって言われたらその気がなくてもちょっと気になったり、まぁ下心も抱くわけよ。全然その気がない相手でも、何気なく触られたりしたら勘違いするし。コイツ俺の事好きなんじゃね?って。でも北斗は全然興味持たないじゃん。むしろそういうの嫌いだろ」


蒼の言う事も分からなくはない。男は単純な生き物だから。例えばバレンタインに義理チョコだって分かってても貰えばドキドキする、みたいな事は俺だって経験してる。
昔は北斗くんて勉強もスポーツも出来るしカッコイイよね、なんて言われて内心舞い上がった事もあったし。


「ていうか年上のお姉さんは?どうなってんの?」

「どうにもなってないけど。あれから会ってないし」


この前コンビニで偶然会って、グリーンスムージーをあげた。なつみさん、ちょっと疲れた顔してたから。肌荒れしなければいいなぁって思って。
なつみさんは介護施設で働いていて、最低でも週二回は夜勤があるってみすみさんが言っていた。
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