塩顔男子とバツイチ女子
「いや、おかしいでしょ。何がどうなって、こうなってるの」
「美白が俺に謝る→俺許す→別にもう気にしてないし。俺、スーパーポジティブじゃん。で、美白が北斗の事を教えてほしいって言うから、じゃあ友達になろうぜ、って。それだけ。それだけだよな?」
「うん。それだけ」
それだけって。あっさりしてるな。需要と供給ってやつ?蒼は玉木の事を嫌いではないだろうし。
「俺の事を教えるって、プライバシーの侵害だからやめて。個人情報だし」
「別に家とか知りたいって言ってるわけじゃないよ。フツーに、相楽くんがどんな人か知りたいだけで」
「もうさ、北斗って呼べば?北斗も、美白でいいじゃん」
「嫌だよ。呼ばれたくない」
二人の動きが止まった。マジなトーンすぎたかな。でもムカついて。俺はよく知りもしない人とすぐに近づける程、器用じゃない。
「マジになんなよ。北斗はこーいうヤツでさ、例えば飲み会とかで女の子に触られたとするじゃん。実際は行かないけど。ものすごい嫌がるタイプなの。もちろん自分が好きな相手には別だけどね。興味のない事には面白いくらいなびかない。俺は長い付き合いだからある程度、一緒に行動するし、北斗だって普通に笑ったり、はしゃいだりするんだけど」
「だけど?」
玉木は俺と蒼の顔を交互にキョロキョロ見ている。
俺だって普通の人間だよ。感情があるし、それを表に出す事がむしろ普通だし。もっとも普段そうじゃないから珍しいんだろうけど。