塩顔男子とバツイチ女子



「バーベキューしねぇ?」

「寒いじゃん」

「バカ。ちゃんと室内で出来る所もあるんだよ」


ほら。と、スマホを見せてくる。室内でバーベキューって…バーベキューって言うの?


「そんなのバーベキューじゃねぇって思ってるな?外で焼いて、食べるのは部屋ってのもアリだけど」

「そこまでしてやる?」

「 優斗も誘って四人でさ」


優斗は服飾の専門学校に行ってる。蒼と同じく高校からの付き合いで、蒼と優斗は幼稚園からの幼なじみ。


「…四人?」

「美白も」


うんうん。玉木は期待を込めた目で頷いている。二人はいつにしようか、場所をどうしようかなんて話し始めている。


「いや、ないから。有り得ないわ」

「お前、これでそんな事言ってたら社会に出た時どうすんの?就職したらフツーに面倒な付き合いとかゴロゴロしてんだぞ」

「それはそれ」

「蒼くん、コレも面倒みたいな括りの言い方になってる」


玉木の指摘に蒼は大袈裟にヤベッと言った。蒼は分かっていて言っているんだろうけど。


「ま、考えとけよ。あ!誘ったらいいじゃん」

「誰を」

「なつみさん、だっけ?」

「…嫌だ。私は反対!」


玉木はテーブルをバンッと叩くと立ち上がった。俺だって反対だ。そもそも、なつみさんに迷惑だし。


「俺も反対」

「何なんだよ。仲良くやれよ。みんなで楽しく騒げばいいだろ。バカ」


そっくりそのまま返したい。バカ。五人で仲良く楽しく騒ぐなんて、何が起こるか分からない。危険だ。
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