塩顔男子とバツイチ女子




目が覚めると、お昼をだいぶ過ぎた頃だった。眠っていたいのに疲れ過ぎているからなのか、熟睡感が無いまま目が覚めてしまう。夜勤明けはいつもそう。夕方近くまで眠れる日もあるんだけど。休みなのにほとんど睡眠に費やしてしまう。


スマホを手にすると、母からの着信が数件入っていて、かけ直すと三コールでつながった。


「アンタ今まで寝てたの?」


もしもしも無ければ、おはようも無い。寝起きの頭に母の声がけたたましく響く。


「…夜勤明けだし。帰ってきたの八時過ぎだからね。ほとんど眠ってないよ」

「今日休みなんでしょう?それとも夜から仕事?」

「まさか。来週はそうだけど」


隔週で夜勤二連続…なんだけど、最近はほぼ毎週になっている。夜勤専門の人は本当にすごいと思う。どうやって自分の時間を確保しているんだろう…。やっぱり睡眠を削るとか?


「それなら出荷の手伝いに来なさい」

「やだよ。パートのおばちゃん達いるじゃん。人手は足りてるでしょ」


母は午前中は畑に出て、午後は出荷作業の為の選別や袋詰めもやっている。


「この時期でしょ、人手はいくらでも欲しい」

「あ~…欠員出てるのね」

「ともかく早く来てちょうだい。祥太も少し風邪引いてるから香ちゃんは家にいるのよ」
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