塩顔男子とバツイチ女子
大学を出ると外は薄暗くなっていた。まだ16時過ぎだというのに暗くなるのが早い。
昼間のバーベキュー論争は俺が頑なに断ったけど、蒼と玉木は諦めていないようだった。
…それにしても、なつみさんから連絡が来ない。飲みに行く時は誘ってと言ったから仕方ないけど。そういう気分じゃないのかも知れないし。
“北斗です”
アプリを開いてなつみさんにメッセージを送るとすぐに既読になった。この時間にスマホを見れるって事は休みかな?それか休憩?夜勤前?
“なつみさん、元気ですか?”
“こんばんは。連絡出来なくてごめんね”
“いえ。今日、お休みですか?”
ちょっと歩いただけなのに寒さで顔が痛くなる。
“うん。でもあんまり眠れなくて、そしたら実家の手伝いに駆り出された。やっと解放されそうなところ”
“手伝いって?”
“農家なんだ。パートのおばちゃん達がいるんだけど欠員が多いらしくて。この時期でしょ、胃腸炎とかね”
農家とは知らなかった。て事は、みすみさんも畑仕事やってたのかな?なつみさん、夜勤明けで手伝うなんてしんどいだろうな…。
“ねえ、北斗くんの名前って北斗星が由来だったりする?”
突然の質問に思わず空を見上げると、星がほんの少し光って見えた。今日はよく晴れていたから月も星もよく見える。