塩顔男子とバツイチ女子
一杯目は二人共ビール。北斗くんは普段ほぼお酒を飲まないって言ってたから私に合わせてくれてるのかな。
「あの、今更聞きますけど。なつみさん、いないんですか?付き合ってる人とか」
「いないよ。そういえば話してなかったね」
ばあちゃんはわざわざ私の身の上話なんてしないだろうし。
「私ね、バツイチなの」
「バツイチ」
「うん。もう半年前に離婚したんだけどね」
北斗くんはちょっとだけ眉間にシワが寄ってる。多分本人は気づいてないくらいの、ほんの些細な。
「元旦那が浮気して、相手が妊娠してて。夜勤明けでボロボロになって帰ってきた日にそれを告げられてね。もう頭真っ白。いつそんな事になってたの?っていう」
当時は色んな感情が渦巻いていたけど、今はもう笑い話。だって笑うしかない。母の言う通り気づかなかったんだから。
「その一ヶ月後に離婚して。仕事の事とか色々あったから実際こっちに戻ってきたのは離婚して少し経ってからなんだけど。母には散々ボロクソに言われたよ。私が鈍感だったからって。自分の旦那がおかしな行動してるなとか何で気づかないの?だから外に女作ったんでしょ、とかね」
もしかしたらきっとそういう行動があったのかも知れない。気づかなかったのは、それだけ私が元旦那をちゃんと見ていなかったからで。
悔しいけど否定出来ない。