塩顔男子とバツイチ女子


「細かい所に気づいてくれてありがとう」

「なつみさんこそ。俺の事ちゃんと見てくれてありがとう。また俺のために時間空けてください。忙しいと思うけど…」


断るわけがない。北斗くんが私の事を分かろうとして話をちゃんと聞いてくれたし、決して出しゃばらず、でも自分の意見や気持ちはしっかり言ってくれる。

私よりずっとしっかりしている。


「もっとなつみさんと喋りたいから」

「もちろん」

「良かった」


ホッとしたように優しい声になる。元々聞きやすい声だけど。柔らかくて丸みのある滑らかな。


「あのね、北斗くんは年下の男の子だから、どう接したらいいのかって気持ちがちょっとあった。弟に接するのとはまた違うし。でも今日で分かった。平等にね」

「今みたいに横並びで?」


上手いこと言うなぁ。でもそういうこと。年齢なんて関係ない。大事なのは信頼関係を築けるかどうか。


「うん。私、ダメなとこいっぱいあると思うけど」

「別に気にしません。俺なんて最近、迷走してるんで」


淡々と大真面目に言うから笑ってしまう。


「玉木さんに対して?」

「はい」

「見てみたいけどね。笑っちゃうと思うけど」


まだまだ知らない北斗くんの顔があるんだと思うとワクワクしてしまう。


「俺が気づかないうちに、なつみさんが気づくと思う」

「そうかも知れないね」


きっと北斗くんのテリトリーは厳重にロックされている。だけどなぜだか私には開いてくれているような気がして。足跡くらいは残せたような気持ちになった。

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