塩顔男子とバツイチ女子
なつみさんと飲みに行ってから二週間。テストやレポートに追われ、忙しい毎日だった。
テストの結果は割と良い方。蒼はそこそこだったらしい。
「もう単位落とさなきゃそれでいいわ、俺は」
「ちゃんと勉強すればいいのに」
「してるから。しょーがねーじゃん、頭ついてこなかったんだよ」
蒼はラーメンを啜りながら言う。同じ大学にいても学部が違うと全然会わない事もしょっちゅう。一週間ぶりくらいかな。
「そういえば、もう予定組んだから」
「何の」
「バーベキュー。黙ってたけどお前がなつみさんとメシに行った日に美白、すげー怒って俺に電話よこしてきてさ。北斗と一緒に出かけたいんだって。一度付き合ってやれよ。そしたら静かになるんじゃねえの」
「静かになるとは思えない」
「まあねー、そこは俺も同感なんだけど」
…多分まだ好きなんだな、玉木の事。蒼って何だかんだお節介な所あるけど、今までは玉木に付きまとわれる俺を気にしてた。でも今は玉木を気にしてる。
「優斗はオッケーだって」
「もう誘ったの」
「外堀から固めないと。まあ、優斗しかいないけどさ。北斗はなつみさん誘ったらイイじゃん、デートだと思って。俺も会ってみたいし。ほら、パンフ」
蒼はリュックから出したパンフレットを渡してくる。少し遠いけど人気のバーベキュー場らしい。大きなアスレチックやキャンプ場も併設していて夏はプール、冬はスケートリンクもある。