塩顔男子とバツイチ女子
買い物をしてからばあちゃんのお店に行くと、たちまち女子会の空気になった。30分くらいしか居られないけど、それでも気分転換になれば何より。
「私もみすみちゃんみたいに足腰丈夫ならねぇ、やりたい事がいっぱいあるんだけど」
「やったらいいじゃない。この歳になったら、やりたい事はやらないと。いつ逝っちゃうか分からないのよ。息子に言いなさいよ、たまには外に連れて行けって」
「言ってるんだけどね。男ってのは役立たずで」
二人の会話を邪魔しないように、カウンターの端っこに座ってカフェオレを飲む。
「なつみはどう?ちゃんとやってる?」
「細かい事に気がつくし、今日も私がみすみちゃんのお店に行きたいって言ったら連れてきてくれたのよ」
「今日は山城さんだけだから」
「愚痴もクレームも、何でもなつみに言ったらいいから」
カランカラン、と扉が開く音がして振り向くと北斗くんが入ってきた。
「あら、ホクちゃん。久しぶり。テストどうだった」
「割と良かったです。なつみさん来てたんだ。仕事中?」
「うん。連絡出来てなくてごめんね」
北斗くんは私から近い席に座った。キャラメル色のダッフルコートが暖かそう。
「なつみ、いつの間にホクちゃんとそんな関係になってたの」
「なつみちゃんの彼氏?かっこいいわねぇ。背が高くて、さっぱりして」
山城さんは北斗くんを見てニコニコしている。