塩顔男子とバツイチ女子
「まさか!違います。ちょっと色々あって。ばあちゃんも紛らわしい事言わないで」
「別にいいじゃない。お互いフリーなんだから。ホクちゃん、何飲む」
「ホットで。なつみさんの所の方ですか?」
北斗くんは山城さんに、こんにちはと挨拶している。
「そう。二人は昔からの友達なの。買い物してここに寄ったんだ」
「長い付き合いなんですか?」
「長いわねぇ。嫁いできてすぐ知り合って仲良くなったから。あなたは大学生?」
「はい。すぐそこの大学に。相楽北斗です」
「素敵な名前ね」
北斗くんの表情が優しい。ここで会えたのはラッキーだったな。連絡するキッカケが全然なかったから。他愛ない事でいいのかも知れないけど出来なくて。
「ちょうどなつみさんに連絡しようと思ってて」
北斗くんはリュックの中からパンフレットを出して、私の前に置いた。
「困った事になりました」
「…あ、もしかして」
「はい。もしかしてです」
パンフレットを開くとバーベキュー場のページが出てきた。その他のアクティビティも色々あるんだなぁ。私が子どもの頃はここまで充実していなかった気がする。
「あら、バーベキュー?楽しそう」
ばあちゃんが覗き込みながら言う。
「ちょっと面倒な事になっちゃって」
「なつみの出番て事ね。頑張りなさい。野菜ならいくらでもあげるから」