塩顔男子とバツイチ女子



「ちょっと待って。相楽くん…ほんとなの?私を追っ払おうとして嘘ついてるんでしょ?絶対嘘」

「嘘言ってもしょうがない」


まぁ、嘘なんだけど。しかも口からポッと出た、自分でも言うつもりのなかった言葉。


「なつみ、良かったね。若い男の子はいいわよぉ。可愛いし」

「待って待って。一体何がどうなってるの?!」


なつみさん。…もしかして、みすみさんの孫?曾孫はまだ生まれたばっかりって言ってたし。


「…私、絶対信じないからね。こんなオバさん、相楽くんには絶ッ対合わない!諦めないから!」


玉木は手早く会計を済ませると飛び出して言った。

……何で俺、わざわざ焚きつけるような事を言ったんだろう。今までだってずっと上手くかわしてきたのに。


「…オバさんてもしかして私のこと?」

「あ、すみません。巻き込んでしまって」

「なつみだってオバさんなんだからいいのよ。もう甥っ子がいるしね。ホクちゃん、これは私の孫なの。なつみ、ホクちゃんはすぐそこの大学の子」


やっぱりみすみさんの孫だったんだ。


「相楽北斗です」

「市川なつみです。…あの、さっきの子は?」


店で騒がしい会話をしてしまった事をみすみさんに謝ってから、玉木の事を手短に話した。
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