塩顔男子とバツイチ女子


“北斗くんの話、何でも聞くよ。むしろ聞きたい。でもまずはしっかり体を休めて”

“なつみさんもね。祥太くんのお世話が終わったらご褒美ビール、いいと思う”


北斗くんの中では私がすっかりビール好きになってしまっているようで、画面を見ながら苦笑いした。仕事終わり、ボロボロの姿でコンビニで缶ビール。初めて一緒に食事に行った時は生ビール。このままだと私のイメージがいつもビールを飲んでいそうになってしまう。


“眠くなってきたから少し眠ります。おやすみなさい”

“おやすみなさい”


やり取りを終えて祥太を見ると、バケツをひっくり返して砂まみれになっていた。靴もズボンも汚れている。


「祥太~、真っ黒じゃん。見てない私が悪いけど…ばっちいから手洗おう」


まだ遊びたいと言わんばかりにスコップを離さない祥太を抱えて水道まで連れて行く。

北斗くんの子ども時代はどんな感じだったのかな。活発?それとも今みたくクール?整った顔立ちだから結構モテてそうだけど。今度会ったら聞いてみよう。


「手洗ったらお家帰ろ。もうすぐ暗くなっちゃうし」


ベビーカーを押して家まで30分。散歩なのだからと祥太を少し歩かせながら来たけど、やっぱり車で来れば良かった…。寒いし遠いし。
畑に囲まれているというのはこういうこと。近くに特に目立つものなんて無い。住めば慣れてしまうけど、就職から結婚離婚まで県外にいたから未だにギャップが激しい。感覚がなかなか戻らないのだ。

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