塩顔男子とバツイチ女子


久しぶりの授業はとにかく疲れた。頭がなかなか思うように回転しなくて、ノートを取っていても頭に入ってこなかったりボーッとしたり。


「病み上がりなんだから無理すんな」

「うん…夜まで乗り切れるかな」


風邪薬ってどうして眠くなるんだろう。これを飲んだら授業が始まる頃には眠気に襲われそうだ。


「でもお前が美白を気にするなんて思いもしなかった」


蒼は大袈裟に驚いた顔をする。しかもオーバーなリアクション付き。


「いつもと雰囲気が違うような気がして。何ていうか…いつもキャンキャンしてるじゃん」

「まあな。俺と同じでうるさい。でもイイトコある」

「蒼もありがとう」


他の授業のうちの一つを蒼の友達も取っているから、蒼はノートをコピーしてくれていた。明日小テストが出るから本当に助かる。


「北斗はこういう時に自分から頼れるヤツがいないから困るよな」

「それはしみじみ思った」


蒼は特盛の唐揚げ丼を食べている。いつもなら美味しそうだと思うけど、今は見ているだけで気持ち悪くなってくる。俺の昼飯はゼリー飲料。どうにも食欲が戻らない。


「てか、美白に直接聞けば良くね?同じキャンパスなんだし」

「俺知らないし、玉木が何の授業取ってるのか」

「あー…そこね。北斗は美白の連絡先も知らないしな」


蒼は玉木が英文学を専攻している事と、今年の夏にイギリスにホームステイしていた事を話してくれた。


「バーベキューの日、お前はなつみさんと足湯に行ったじゃん。美白が自分も行くって怒ってさ。お前達が行って少しして、美白がやっぱり行くって言い出したから俺も一緒に行ったわけ」
< 78 / 191 >

この作品をシェア

pagetop