塩顔男子とバツイチ女子
久しぶりの授業はとにかく疲れた。頭がなかなか思うように回転しなくて、ノートを取っていても頭に入ってこなかったりボーッとしたり。
「病み上がりなんだから無理すんな」
「うん…夜まで乗り切れるかな」
風邪薬ってどうして眠くなるんだろう。これを飲んだら授業が始まる頃には眠気に襲われそうだ。
「でもお前が美白を気にするなんて思いもしなかった」
蒼は大袈裟に驚いた顔をする。しかもオーバーなリアクション付き。
「いつもと雰囲気が違うような気がして。何ていうか…いつもキャンキャンしてるじゃん」
「まあな。俺と同じでうるさい。でもイイトコある」
「蒼もありがとう」
他の授業のうちの一つを蒼の友達も取っているから、蒼はノートをコピーしてくれていた。明日小テストが出るから本当に助かる。
「北斗はこういう時に自分から頼れるヤツがいないから困るよな」
「それはしみじみ思った」
蒼は特盛の唐揚げ丼を食べている。いつもなら美味しそうだと思うけど、今は見ているだけで気持ち悪くなってくる。俺の昼飯はゼリー飲料。どうにも食欲が戻らない。
「てか、美白に直接聞けば良くね?同じキャンパスなんだし」
「俺知らないし、玉木が何の授業取ってるのか」
「あー…そこね。北斗は美白の連絡先も知らないしな」
蒼は玉木が英文学を専攻している事と、今年の夏にイギリスにホームステイしていた事を話してくれた。
「バーベキューの日、お前はなつみさんと足湯に行ったじゃん。美白が自分も行くって怒ってさ。お前達が行って少しして、美白がやっぱり行くって言い出したから俺も一緒に行ったわけ」