塩顔男子とバツイチ女子
それは確かにそうだけど。何も言い返せない俺を見て蒼は笑った。
「あぶねー。白熱しかけたわ」
「思わぬ話題で」
人を知るって難しい。一年以上追いかけ回されてるのに、ついこの前まで玉木のフルネームも知らなくて、オマケに学部も知らなかった俺が玉木だけを責めるのは確かにおかしい。
「それで玉木は?どうしてるの」
「至って普通。だからデートしようって昨日誘ったんだけど、ヤダって。一言で断られた」
蒼は不満そうに、俺の何が嫌なのか?と言っている。二人一緒にいるとうるさいけど、何だかんだ似合っていると思う。
「北斗さ、一度話してみたら?美白と。休んでた間ずっと心配してたよ。うるせーくらい、何度も俺にしょっちゅう電話してきたもん。本当に大丈夫なのかって」
「蒼はどうして玉木と友達になったの」
「前にも言った。美白が俺に謝ってきて、北斗の事を知りたいって言うから友達になって。ただそれだけ。難しく考える事じゃないじゃん。一緒にメシ食ったり何でもないような話したり楽しく過ごせて、ちょっとでもお互いに興味があるなら友達だよ。少なくとも俺はね」
蒼の社交性が俺にほんの少しでもあれば、玉木とももっとコミニュケーションが取れているのかも知れない。
「北斗、なつみさんともそうだろ?時々連絡取って話したり、メシ食ったり。友達以上恋人未満」
「…なつみさんと俺って友達なの?」
蒼は苦笑いしながら、そんなの知らねーよ!と言った。
なつみさんと俺は今、どんな関係性なんだろう?友達ではないような気がする。でも知り合いって言葉も合わない。…やっぱり友達?
「北斗、眉間のシワ!ヤベーぞ。無駄に考えるよりなつみさんに聞けよ」
言われて触ってみると確かに深いシワが寄っていた。
後でなつみさんに連絡してみるか。