切リ取リマスカ?
かき集める
こんな事になるなんて思わなかった。


休憩時間の度に教室を訪れて大雅と話をしている楓先輩を見て、あたしは奥歯を噛みしめた。


あたしが彼女だと知っていながら目の前で大雅を呼び出すなんて、どんな神経をしているんだろう。


「今日の心、ちょっと変だよ?」


昼休憩中、紀子が心配してそう声をかけて来た。


愛と紀子の関係を切り取った時も、みんながそんな目であたしを見ていたことを思い出す。


あたしは思わず笑ってしまっていた。


たしかに今のあたしは変なのかもしれない。


1つの事を成功させようとすればするほど、泥沼にはまって行くような感覚だった。


「ねぇ2人はサッカー部の写真なんて持ってないよね?」


「サッカー部の写真?」


愛が聞き返して来る。


「うん。どんなのでもいいんだけど……」


「ごめん、持ってないや」


2人は自分のスマホフォルダを確認してそう言った。


「そっか……」


一番手っ取り早いのは大雅と楓先輩の関係を切り取る事だったが、2人が同時に写っている写真がなければそれもできない。
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