切リ取リマスカ?
楓先輩の事だから大雅とのツーショット写真くらい撮っていそうだけれど、本人が素直に渡してくれるとも思えなかった。


「あ、大雅が戻って来たよ」


紀子にそう言われて顔を上げると、大雅が自分の席に座るところだった。


その表情はとても嬉しそうだ。


大雅の彼女はあたしなのに……!


「ちょっと言ってくる」


あたしはそう言い席を立った。


「あのさぁ、大雅」


後ろから声をかけると「なに?」と、いつも通りの笑顔を向けられた。


「楓先輩はなんの用事だったの?」


「あぁ、今度の試合にお守りをくれたんだ」


そう言い、大雅はポケットからお守りを取り出した。


フェルトで作られている手作りのお守りだ。


あたしはグッと拳を握りしめていた。


なんでそんなの受け取るの?


お守りを作るなんて、あたしがやる事でしょ?
< 105 / 181 >

この作品をシェア

pagetop