切リ取リマスカ?
楓先輩の前では忠実な子犬を演じていただけみたいだ。


まぁ、そんなもんか。


あたしはフッと肩の力を抜いた。


「楓先輩は大雅のストーカーなんですか?」


「どう見てもそうでしょ? 毎日1年生の教室に会いに行くとかウケるんだけど」


なるほど、この人たちから見てもそんな風に見えていたのか。


あたしはスマホの画面を見つめて指先でそれをなぞった。


できるかどうか怪しかったけれど、人差し指と薬指を使って2つの線を同時に引く。


《2人ノ関係ヲ切リ取リマスカ?》


いつも通りの文面に、あたしは笑った。


どうやらこういうやり方も有りみたいだ。


あたしは《イエス》のボタンをタップして、先輩たち2人を見た。


画面からアプリは消えて、同時に2人はキョトンとした表情であたしを見ている。


「サナ先輩、リカ先輩、あたしに何か用事ですか?」


「え? いや、別に……」


「っていうか、あたしたち何してたんだっけ?」


2人で顔を見合わせて首を傾げている。


「サッカー部の練習を楓先輩と一緒に見に来てたじゃないですか」
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