切リ取リマスカ?
負け
期待していた後半戦だったが、今度は相手チームに責められる形になってしまった。


声を張り上げて応援しても大雅たちのペースは戻らない。


前半2点とっているのに関わらず、あっという間に同点まで追いつかれてしまっていた。


大雅に焦りの表情が浮かび、うまくパスが回らなくなる。


「なにしてる! ちゃんと見ろ!!」


そんな声が飛んでくる。


大雅は必死だった。


必死に走り、必死にボールを奪った。


それでも点差は縮まらない。


後半40分のところで相手チームの選手にボールが渡った。


相手は一気に走り抜けていく。


佐原高校の選手はその足についていけない。


気が付けば、相手選手はゴールの目の前だった。


ゴールキーパーが体勢を低くして身構える。


ボールが思いっきり蹴られ、ゴールの中へと吸い込まれていくのを見た。


ゴールキーパーが手を伸ばすが、その手の先をかすめて飛ぶ。


ゴールの網が大きく揺れる。


「う……そ……」


相手チームの応援団が歓声を上げて拍手を送る。
< 116 / 181 >

この作品をシェア

pagetop